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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第一話 オーラ

Author: 彼方
last update Huling Na-update: 2025-03-24 10:00:00

24.

ここまでのあらすじ

 麻雀部は人数が増えて8人になり部内最強を決める麻雀大会を開くことにした。すると主人公カオリに助言する声があった。声の主は自分を【woman】というが……? 謎の声【woman】とは一体? そして、麻雀部最強は誰になるのか?!

【登場人物紹介】

財前香織

ざいぜんかおり

通称カオリ

主人公。

読書家でクールな雰囲気とは裏腹に内面は熱く燃える。

柔軟な思考を持ち不思議なことにも動じない器の大きな少女。

財前真実

ざいぜんまなみ

通称マナミ

主人公の義理の姉。麻雀部部長。

攻撃主体の麻雀をする感覚派。

佐藤優

さとうゆう

通称ユウ

兄の影響で麻雀にハマった。名前の通りのとっても優しい女の子。お兄ちゃんの事が大好き。

竹田杏奈

たけだあんな

通称アン

テーブルゲーム研究部に所属している香織の学校の後輩。ふとした偶然が重なり麻雀をすることになる。

佐藤卓

さとうすぐる

通称スグル

佐藤優の兄。『ひよこ』という場末雀荘のメンバーをしている。人手不足からシフトはいつもランダム。自分の部屋は麻雀部に乗っ取られているがそれ程気にはしていない。

井川美沙都

いがわみさと

通称ミサト

麻雀部いちのスタミナを誇る守備派雀士。

怠けることを嫌い、ストイックに生きる。

中條八千代

なかじょうやちよ

通称ヤチヨ

テーブルゲーム研究部所属の穏やかな少女

理解力が高く定石を打つならコレという判断を間違えない。

三尾谷寛子

みおたにひろこ

通称ヒロコ

テーブルゲーム研究部所属の戦略家

ゲームの本質を見抜く力に長けていて作戦勝ちを狙う軍師。

その3

第一話 オーラ

 東4局一本場はwomanの声は無かった。だがカオリはそんなことは別に気にしてなかった。堅実に丁寧にピンフを作ってリーチした。

カオリ手牌

一二三六七八③④⑥⑥123

 勝負手の入っていたスグルが放銃して2900は3200。さっきのダマ三暗刻の時払った3200を返してもらった。

(よーし、悪くない。1番格上のスグルさんからの直撃なら3200だって充分だ)

 続く二本場はwomanの気配はしたが何も言われなかった。すんなりリーチしてツモ。

カオリ手牌

二三四四赤伍六①①①③567 ツモ②

「ツモ。2000は2200オール」

《うん、その調子!》

(あ、やっぱりいたんだ)

《なにも言う事無い時まで話しかけたりはしませんよ。あと、いつも見てるわけではありませんからね》

(そうなんだ。でも、私はwomanの声が好きだから、沢山お話ししたいかな)

《……わかりました。なんか、ありがとうございます。ふふふ、照れますね》

三本場

「これ以上はやらせないよ!」とマナミがポンチーと攻めてきた。

「ツモ! 2000.4000の3本付け!」

 ドラヘッドの役役ドラ2だった。

(危ない、満貫だとは思わなかった。さすがマナミ。力あるわ)

 ――南入

 後半戦は一撃の重みが東場のそれとは比較にならない程重い。なので和了は大きなチャンスになるし放銃は致命傷となる。ここからがゲームの本番だと言える。

 本当の勝負はこれから――

「おれの親だ」そう言ってサイコロを取るスグルの姿には錯覚だろうか、なにかオーラのようなものが見えた気がした。

(あのオーラはきっと気のせいじゃない。謎の声だって聞こえるくらいだ。オーラくらい見えたって変じゃない)

「物凄い闘気ね」とマナミが言う。

「見えるの?」

「見える? そんなわけないじゃない。なんとなくよ。なんとなく」

 マナミは勘がいい。感覚で危険を察知して攻めと守りを鋭く使い分ける打ち手だ。だからあのオーラも見えなくても分かるのだろう。私は多分、なぜかは分からないけど超能力者になったようだ。あのオーラが見えてるのは幻覚じゃないんだろう。実際、私やマナミやヒロコちゃんにもよく見たら薄いオーラがぼんやり見える。

(今はいないか…… あとでwomanに聞いてみよう。オーラのこと)

 サイコロが振られる。6と6の12

 配牌を左から取り始める。その時、伸ばす手にオーラが収束して右手に全ての力が集まる様子が見えた。

(こんなにも…… 気合いを入れるというのはここまで集中することなのか。意味はないのかもしれないけど、これが『祈り』ってやつなんだろうなあ)

「まるで祈るように取りますね」とヒロコがふと思ったことを言った。

(なんだ? こやつは代弁者か)

「ヒロコちゃん。勝負には祈りありきなんだよ。高い集中力の原点は勝利への祈りから」

 顧問のスグルは合理性よりそういう気持ち的なものを教えてくれる人だった。と、後に麻雀部に所属していた少女たちは口を揃えて語るようになる。

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